「世界経済終わりの始まり」「アメリカ経済終わりの始まり」

世界バブル経済終わりの始まり──実践・臆病者のための黄金の投資学

世界バブル経済終わりの始まり──実践・臆病者のための黄金の投資学

アメリカ経済終わりの始まり──脱ペーパーマネー経済時代の超資産運用論

アメリカ経済終わりの始まり──脱ペーパーマネー経済時代の超資産運用論


  • 投資は究極のところ、計算どおりにいかないのが常態あのである。もし経済理論や数学、数式、コンピュータだけで投資できるなら、そこに人間が出る幕はない。

金利が下がると株価が下がる?】


  • 株価は89年12月29日に3万8915円という高値をつけ、2003年4月28日に7607円まで暴落した。政策金利は6%からどんどん下落し、とうとうゼロ金利まで下げ続けることになる。
  • 金利を下げるのになぜ株価まで下がるのか?
  • 1929年8月、当時、金利は6パーセント。NYダウは381ドルであった。これが1.5%まで金利が下がってくると、NYダウは42ドルまで下落する。これがあの金融恐慌の瞬間である。
  • さらに遡ると、1873年11月、金利が9%のときには株価は441ドルであった。これが2%まで下がると157ドルまで下落する。この1873年の恐慌は、1929年のそれよりインパクトのある大暴落で、大企業のほとんどが破綻しているのである。
  • 政策金利上昇時の株価をチェックしてみると、1929年のNY市場、1989年の東京市場のいずれも、政策金利がピークのときに株価もピークをつけている。そして、先に述べたとおり、金利が下がれば下がるほど株価も下がっている。これは新興市場でも同様に見られる現象で、アメリカのナスダックは、金利が7%から1.1%に下がる間に、75%も下落している。日本も同じである。ゼロ金利になって4年後に、日経平均7607円という株価をつけている。
  • 1921年から現在まで、アメリカでは17回もの金融緩和期があた。ただし、その全てで、金利をさげるときに株が下落、暴落していたわけではない。金利を下落させながら、株価も上昇する場合もあった。金融の循環からいえば、必ずしも金利を下げるときに株価暴落が起きているわけではない。
  • では、なぜわたしは「FRB金利を下げるときにNYダウは暴落する」というのか?この話は、あくまでバブル現象のときに限るのである。さらに付け加えれば、資産バブルや資産インフレ時に金利を下げると暴落するのである。
  • インフレには資産インフレと商品インフレがある。
  • アメリカの不動産バブルが崩壊すると、アメリカの消費が冷え込み、もはや日本や中国の製品をポンと気前良く買ってくれるマーケットはなくなる。アメリカの不況は、世界経済全体に悪影響を与えるのである。なんでも買ってくれるお得意さんが消えてしまいかねない。これは困る。
  • たとえば「○○株、20年ぶりに1000円の大台回復!」というようなアナウンスが新聞紙上を賑わしたら、そこが天井なのだ。バブル崩壊直前など、ご家庭の主婦までもがへそくりや積立預金、あるいは子供の学資保険を解約した資金をそっくり株式市場に投げ込んでいたではないか。みなが買う頃にはもう終盤戦なのである。
  • どんな局面でも一般投資家がフィーバーするようになったら、そこは天井と考えて間違いない。
  • 1969年当時のアメリカは、バブル時代の日本や今の中国・上海株式市場同様、「ゴー・ゴー・ファンド」の合言葉で、国民がこぞって株式投資に熱中した時代だった。電気関連株や自動車関連株への投資はもちろん、日本企業の株式にまで手を出すなど、とにかくものすごい投資ブームだったのである。学校では毎日、「うちのパパは株でこんなに儲けたよ」という話題で持ちきりだったという。大学でも高校でもない。小学校で、である。そんな逸話が残っているくらいだ。こんなフィーバー・トレンドの中で「こんな環境では投資したくない」と自分のファンドを清算してしまった人がいる。そして、現実にその年末から、株式はなんと70%も暴落したのである。それから5年後、彼は再び株式投資を始める。これこを若き日のウォーレン・バフェットのエピソードである。彼の投資哲学は「わからないマーケットには近づかない」という一点に尽きる。これは見識というか、ある意味で卓見なのだ。日本の代表的な相場師であった是川銀蔵にしても、バブル崩壊直前に手仕舞っている。その理由も「このマーケットで、これだけ株価が上昇する理由が分からない」だった。

【就職】


  • 中国が米国債を売り始めているのだ。あと数年で、中国はアメリカに次ぐ経済大国になろうとしている。政府首脳は「ドル売り」「ユーロ買い」「石油買い」を必死に展開している。
  • バブル全盛期の日本でも、まったく同じことが起きていた。工学部の卒業生たちは、メーカーに就職せずに金融界を選んだ。その後、バブルは崩壊してしまった。彼らが果たして幸福だったのかどうか、私は機会があったら直接聞いてみたい。

イラク戦争


  • イラク戦争はドル防衛のためにやったことである。結果アメリカは、サウジアラビアに匹敵する2500億バレルの原油埋蔵量を持つイラクを支配することになった。硫黄分の少ない良質の石油。仮に埋蔵量2000億ばれるとして、暴騰した原油価格でなく、平均45ドルで計算しても9兆ドル。およそ1100億兆円にも上る。悪の枢軸を成敗するという錦の御旗を掲げて行動し、ついでに原油の支配権、採掘権、通商権を手に入れたのだから、ブッシュ大統領にしても万々歳であろう。40兆円の投資(軍事的出費)で1100兆円ものリターンを得たのだから、この戦争はビジネスとしては大成功である。

【アナリストの予想は70%外れる】


  • 「的中率はたった20%-30%」。国内大手機関投資家が昨年秋、証券アナリストの株価予想が的中したかどうかを事後検証したところ、驚くべき結果が出た。さらに証券会社が引受業務で主幹事を務める会社に対しては、アナリストの格付けが甘くなる「バイアス現象」も鮮明になったという。(2001年10月4日日本経済新聞