虚構―堀江と私とライブドア
- 作者: 宮内亮治
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/03/24
- メディア: 単行本
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(2007年3月22日 東京地裁において、懲役1年8か月の実刑判決(求刑懲役2年6か月)を言い渡される。即日控訴。)
こういう、犯罪に加担した人間が書く本は結構難しい。
というのは、この本に関しては、ライブドアという日本経済史に大きなインパクトを与えた企業が粉飾決算に至った経緯を見ることは、すごく有効だと思う一方で。
結局「言い訳」をしているだけの場合は、全く読む価値がないからである。
本屋で手にとって最初の方をじっくりと読んでみたところ、
結構、客観的に書かれているようだったので、
それでもあまり期待はせずに購入することにした。
でも、
この本、結構いいよ。面白い。
一つの企業がどのように成長を遂げ、
どのように堕ちていくかが比較的・客観的に描かれているからだ。
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(以下、内容。
堀江氏の経営者としての良い部分、悪い部分が描かれている)
堀江は数字に細かい。また赤字部門は徹底的に詰める。
堀江のキッチリと退路を断って理詰めで責めるやり方は嫌われるけれど、たいしたものだ。逃げ道があったので改善はしない。「詰め将棋」のように迫ってくる堀江が怖くて、担当部長クラスが成績を必死で上げると言うことが、現実にあった。
嫌われるのを恐れるあまり
最後まで詰めない経営者も世の中にはいる。
数字は人に任せてばかりの経営者もいる。
その中で、堀江の経営へのこだわりは、或る意味でよい緊張感を与え、叱咤激励されて育っていく若い幹部社員もいるため、これに関して堀江を責めることは出来ない。
彼の凄いのは感情に流されないところだ。人を判断するのに「できるか」「できないか」だけを基準にして、信賞必罰を貫いた。邪な愛情や嫉妬などとは無縁の男である。
だが、読みが早すぎる上に本人の飽きっぽい性格もあって、成熟する前に止めてしまったり、決算数字が足りなくてファイナンス部門でその事業ごとに売りにいったりした。ここにライブドアの致命的欠点がある。