「吉野家 安部修仁 逆境の経営学」
知らない人も多いかもしれないが、
「吉野家」は1980年に一度倒産している。
そして、日本政府が米国産牛肉の輸入停止を発表したことにより、
「牛丼屋なのに牛丼が作れない」という二度目の倒産危機に瀕した2004年。
それらの苦難を乗り越えた吉野家を率いたのは、
ハーバードのMBAホルダーではなく、
外資系コンサルティング企業出身者でもなく
「工業高校卒業後にアルバイトから始めてトップに上り詰めた」
安部修仁さんの手腕によるものだった。
現場からたたき上がった安部さんの言葉は、
結構重くて、社会人として学ぶところが多かったです。
- 作者: 戸田顕司
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2007/03/08
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「上位者視点で考える」
「私は上位者の位置にいるつもりで物事をとらえようと心がけていました。店長であればエリアマネジャーとして、エリアマネジャーであれば営業部長として、営業部長であれば経営者として、という具合です。
自分の立場だけで考えた問題提起ははっきり行って、8割が愚痴や不満ですよ。もちろん、修正しなければならない正しい指摘が全く無いわけではないけれども、非常に少ない。
会社で働いていると誰しも矛盾を感じるときがありますが、上位視点を持つことで、会社の取り組みに対して正当性に気づいたり、前向きに理解できたり出来る。つまらないことでくよくよしたり、腹を立てたりせずに済む。」
「良い子になるな」
「「大抵の上司は、部下の短所と自分の長所を比較している。それでは人は伸びない」と怒っていました。自分の長所と部下の短所を比べているのですから、常に自分が買って部下が馬鹿に思えてしまう。それでは部下の優れた能力を引き出せないんです。部下も「この上司でなければ、もっと気持ちよく仕事ができるのに」とくさる。だから、「比較するのは自分の短所と相手の長所にしろと」これによって、自分が改善すべき課題が見えてくるメリットがあります。
「変えてはならないものがある」
「企業は往々にして、何かを変えようとしたがります。しかし、私の考え方は逆です。まず変えるべきでないものを決めます。それ以外を変えていく。過去に分類整理したことがありますが、変えてはいけないものは膨大にあるわけではありません。」
「ディティールを極める」
「色々な品目を試してみて、「これが当たった、あれが当たった」と評価するマーケティング活動。私から見ると、この行為は初動の単なる探りでしかありません。本質的な活動はここから始まるのです。どんなメニューが受け入れられるかを調べるマーケティング活動は、取り扱う品目を選ぶためのセンサーに過ぎません。初動の商品が永遠であるはずが無いのですから。素材も加工工程もレシピも改善して、良くしていかなければならない。改善の連続で作り上げたものは、はやり廃りに左右されません。おいしいのは当たり前。それをいかに安くしていくか。これが出来れば、他社は簡単に真似は出来ません。」
その他「待つ心が一番の敵」
「大多数の意見が必ずしも正解とは限らない」という
様々な有用な姿勢が記載されています。
「何を残したかすらからも学習する」
客が白米を残していたら、それは汁が足りないことを意味しているかもしれない。だから、客が何を残すかすらも研究する。
「好き嫌いと才能は別、全力でやれば次の世界は見えてくる」