村上春樹「トニー滝谷」映画版




小説は読むが、ほとんど。
村上春樹さんの小説しか読まない私。



村上さんの小説だけを、ここ10年は。
ただひたすら繰り返し、繰り返し読む。



(でも、「スプートニクの恋人」は観覧車のシーンが、
読むのが苦しくなって、それ以上、読み進められない私。
そんな村上ファン、「アナログ」文通しましょう。)



http://homepage1.nifty.com/SINDAPANDA/favorite/haruki/haruki.htm



村上春樹さんの短編小説
レキシントンの幽霊」所収、




トニー滝谷」の映画化。



はっきり言って、期待値はメッチャ低かったが、
厳しい目を向けて見たことは間違いない。




「小説の世界を台無しにすんなよ」と。




(誰やねん)








しかし。



宮沢りえさんが、上手い。



そして。イッセー尾形さんが、
さらに上手い。



全編を通して流れる坂本龍一さんのピアノが、
素晴らしく。



その音楽にのる市川準さんの映像も面白い。
少し薄暗いトーンで、ゆっくりゆっくりと、
塗り重ねられていくシーンの数々。
まるで僕は現代美術館に居て、
絵画を見てまわっているような。
独特のテンポがそこにあった。




追伸



もし見るのなら、やっぱり。
小説→映画という流れで見た方がいいと、
個人的には思います。



小説を映画化したわけだけど、
すごく「動き」というものを削ぎ落として、
シンプルな台詞、シンプルな映像という、
ある意味では文学的な仕上がりになっていて、
すごく私は感銘を受けた。



つまり文学をベースにしているという意味では、
やっぱり映画版の作り手にも、
原作というものが強くあるように感じたわけで。



その発想の過程をなぞっていった方が、
この作品の良さがより分かるのかな、
という感じを受けたからです。