藤原和博


リクルートという奇跡


リクルートのフェローだった藤原和博さんのリクルートにおける仕事史みたいな感じの本。リクルート社員に凄い人がいるのは分かるけど、ちょっと英雄視しすぎてて外部の人間にはうーんと思うところもある。嫉妬かもしれないけど。


まあ読み物としては面白かったけれど、藤原さんの仕事内容の中ではそんなに特筆すべき点もなかった。もうすこし具体的に仕事方法を書いてくれれば、得るものは凄く大きかった気がするが。まあその辺は他の著書に譲るというスタンスであるらしい。


僕は藤原さんの仕事より、リクルート事件に関して松岡正剛さんが当時のリクルートの社長さんに語った下りが面白かった。リクルート再生を社会に訴えるためのアドバイス


「なぜ、リクルートはこれを機会に二派に分かれて政権を争うことをしないのか。外から見ていると、なかから自浄するとするエネルギーが全く見えてこない。あなたたちは江副さんと心中する気ですか?


どんなに叩かれても会社を支えてるって意識で勝手に忠臣蔵やっちゃって、いい気分かもしれないけれど、リクルートという革命的な会社をそんな低レベルの純情で沈没させていいんですか?


法律的に正しいとか、正しくないかとか、そういうことはともかく、内部が割れて、一方が他方を浄化するプロセスが見えてこないと、この報道は止まりませんよ」(P172)


なんかもうこういった経営関係の本を色々読み散らかすのは、お金の無駄だし、そろそろ時間の無駄のような気がしてきた。ある程度、的は絞れたから、あとは河合隼雄さん、松岡正剛さん、ドラッカーとかその辺の的に読み深めていく作業をした方が有用だと思う。


公立校の逆襲 いい学校を作る!


リクルート退社後の藤原和博さんの仕事に関する本。リクルート退社後に藤原さんは、東京都杉並区の中学校の民間出身校長をやっておられます。(2002年から2005年現在も)


上述した本よりも、より現場で試行錯誤しているような感じが伝わってきて、僕はこっちの方が面白かった。読みながら、ずっと教育って何なんだろうと考えていました。


藤原さんが初めての卒業式でおっしゃった挨拶を見てたら「あー」と思った。ほんのちょっとだけ分かったような気がした。


「みんなに伝えたいことは、唯一つ。それは『自分の頭で考えるようにしよう』ということ。ビートたけしが良いと言ったからとか、久米宏が悪いと言ったから、とか、浜崎あゆみが身につけているからとかで決めるのではなくて、これからは『自分の頭で考えて』決めて欲しいと思う。当たり前のことを言っているようでしょう。でも、世の中の大人の半分は『自分の頭で考えずに』世の中に流されちゃって生きています・・・その方が楽だから。


君たちの中には、コンビニに毎日行く人がいるはず。コンビニには3000種類の商品があるけれども、ぼーっと毎日見ていてもあんまり品揃えが変わっていないように見えるでしょう。でも年に7割が入れ替わります。その変化を見逃さないクセをつけましょう。何が無くなって、何が新しく入ったか(後略)」(P154)


もちろん、コンビニの商品が変わろうが変わるまいが、私たちの生活にはさほど大きな変化はないかもしれないし、コンビニの商品の変化を理解している人が偉いわけでもない。


ただ、自分で気づいた範囲でいいから、その変化がなぜ生じているのかをはじめ、『自分の頭で考える』力を育んであげることこそが、教育なのではないかと思いました。


だって、学校で教わることなんて本当に限られている。また、時代が変われば学校で教わったことが無意味になることだってあるかもしれない。けど、時代が変わっても、『自分の頭で考える』ことさえ出来たら、人は生きていけると思ったからだ。


まあちょっと当たり前といえば、当たり前かもしれない。けど。自分が子育てするときに、その方向性が分かったような気がしたのだ。『自分の頭で考える』子供を育てる。まあ具体的内容はそっからブレークダウンしなけりゃいけないけれど。


情報編集力―ネット社会を生き抜くチカラ

情報編集力―ネット社会を生き抜くチカラ


藤原和博さんが、情報編集を軸に様々な人と語り合うインタビュー集。久々に読み直したが、第1章の松岡正剛さんとの対話だけが充実しているような感じだ。そこだけ読めば満足です。


情報編集力とは、意味のある情報どうしをとってきて、組み合わせ、組み替える能力だという。


例えば、物語の多くは三つの基本情報から出来ている。らしい。


まず、一対の情報を基本において、その一対に新たな情報を加えて、三つの要素にする。それにより、広い意味での物語が生まれ、理解が進む。という。そういった「二対一」の構造は情報編集力にとって重要であるという。


「ふーん」とは思うが、具体的にこの知識をどうやって実人生に生かすかは分からない。ただ、松岡正剛氏にせよ、河合隼雄さんにせよ、最近の村上春樹さんもだが、「実人生における物語の重要性」みたいなものを多く語っているのをみかけるので、何かひっかかった。最近は、布団に入って情報を組み合わせて物語を作るのが、密かな楽しみです。いつの間にかよく眠れてる。


自分「プレゼン」術 (ちくま新書)

自分「プレゼン」術 (ちくま新書)


藤原和博さんを好きで、社会人1年目の時に大手町の本屋で発売日に買ったのを覚えている。でも、今のところ、この本から特に意識して学ぶところはないし、読み返す必要もない。


エネルギーを奪う仕事、もらえる仕事

エネルギーを奪う仕事、もらえる仕事


「エネルギーを奪う仕事、もらえる仕事」という題名ではあるけれど、21人のタイプの付き合ってはいけないと称する人間を列挙して、ぶった切っているだけの本。つまりは。著者である藤原さんの嫌いなタイプの人間をかき集めて、悪口を言いまくっているだけである。えー。読んでるほうは辛い。ちうかこんな本よく出版したよな。