きけわだつみのこえ―日本戦没学生の手記



イチロー糸井重里さんとの対話の中で、こう言っている。


「昔の人を見ていると、たとえば戦争に行った人には、僕は絶対に勝てないと思うんです。自分の体で大変な苦労をした方には、かなわない。ただ、眉毛抜いている子を見たら、オレは負けない、って思えるんです(笑)。」(「イチロー糸井重里が聞く」ぴあ、2004年)


イチローが言ってるように、戦争に行った人には勝てないと思う。特に、特攻隊で死んでいった人たちの気合には絶対に勝てない。この「きけわだつみのこえ」には、明日死ぬことが決まった人たちの遺書がたくさん収められている。同世代や、自分より年の低い人たち、同じ大学の人たちが、明日死ぬことを決意して、恋人や家族に宛てた手紙。例えば、明日、敵艦に向かって突っ込んでいく人が「願わくば愛する日本を偉大ならしめん事を、国民の方々にお願いするのみです」と書いている。


自分はそういった先人たちの想いにどれだけ応えることができているのか。弱ったときにはこれを見て、何度も自分を励ました。


ただし。あまりに弱りすぎていた時期があって、毎日のようにこの本を握り締めて過ごしていた時期があった。確かに、この本を読むと回復は早い。けれど、再度、弱っていくペースが速くなっていくような気がしてしんどかった。死ぬ決意をした人と毎日向き合っているのはあまりにも弱っているときにはキツイ。ある意味では、最終手段として使うべきである。


先人に敬意を表しつつ。


(ちなみに私は別に第二次世界大戦を肯定しているわけではないし、戦争賛成しているわけでもないし、右翼でも左翼でもない。ただ、純粋に恋人とか家族とか、後世の人のためにと思って、死んでいった人たち(同じ世代、同じ大学とかの人がたくさんいた)の心意気に敬意を感じているだけであります。)