成功は一日で捨てされ

成功は一日で捨て去れ

成功は一日で捨て去れ


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(以下引用)


  • 「成功」は、そう呼ばれた瞬間から陳腐化していくものである。系環境が絶えず変化しているので、人真似の考え方や方法、あるいは他人任せという安易な手法を繰り返すだけでは絶対に成功などしない。
  • ブームはいずれ去ると思っていたので慌てることはなく、普段通りの地道な努力を積み重ねてきた結果、038月期には底を打ち、048期は増収増益だった。しかし翌年の058期には増収減益となってしまった。革新的なことに挑戦した結果の減益ではないので最悪だ。売上が反転し、安定成長志向という病にかかり、増収減益になったときこそ、会社の将来を決する最大の危機だと悟った。
  • 業界内の一般的な考え方によれば、服の需要がこれだけあるとしたら、それを業界内の人たちでいかに奪い合うか、その限られた市場を中心にして考える。洋服に敵対する商品は洋服しか思い浮かばない。それでは同じ狭い市場の中の同じ財布の奪い合いになってしまう。僕はそんなことではなくて、例えば携帯電話を敵ととらえれば、それよりももっと魅力があって買いたくなるような洋服とはどんな商品なのかを考える。市場をもっと幅広く見ているので、そこのところの違いだと思う。
  • 成長しなければ死んだも同然だ。
  • 企業経営は、何でも実際にやってみないと分からないことが多い。完全なものが出来るまで待っていたら、何もできない。自分の会社や事業として、単純に「こんなことをしたい」のではなく、常に「どうあるべきか」を考えて決断しなくてはならない。多くの人が、自分に果たして出来るだろうか、自分には能力がないのではないか、こんなことよりも自分は別のことをした方がいいのではないか、などと思い悩む。それで大失敗するのだ。
  • 世間とか世の中は自分よりももっとずっと大きな存在なので、自分の都合など聞いてくれない。社会的に必然性がなければ失敗する。社会がその事業を要求するから成功する訳で、本当は何も思い悩む必要などないのだ。
  • やってみて失敗だと気づいたら、それを素直に失敗と認め、すぐに変更していけばいい。今まで上場以来、僕はそれを躊躇することなくやってこられた。それが良かったのだと思う。
  • 会社は放っておくと倒産する。(中略)会社経営をしたことのない人は、危機感がなく順風満帆なことが正常だと勘違いしている。
  • 何万人も働いている大きな工場で、そのキャパシティの半分くらいはわが社から発注ということもよくある。年間数千枚の商品を作り、取引高は相当な金額に上る。そこで生産量のアップダウンが激しかったり、突然キャンセルしたりすると工場はただちに死活問題となる。そこをわが社は真剣に考えずに、自分たちの都合だけを押しつけて「このシャツ売れないからやっぱり生産中止!」とか、突然、「このセーターを当初発注量の2倍つくってくれ!」と言ったらどうなるだろうか。あまりに無責任であり、信頼関係をなくすのは当たり前だ。同業他社同様の悪しき慣例そのままの、大企業病の症状である。これではいけない。
  • どの会社でも不正は起こりうる
    • 社会的責任を果たす以前に、不正にどのように対処すべきかという問題がある。最近は会社の不正が発覚したら最後、一夜にして信用も何もかも失う事例が後を絶たない。不正が発覚したらというよりは不正を隠そうとしたらという方が正しい。(中略)ただ、経営者がそれを隠したり、自分の知らない、あるいは関知しないところで発生した不正だということを公言すると、それだけで不信感が生ずる。ましてや「わが社は大企業なので、これくらいのことは当然だ」のような傲慢不遜な態度が見えたら、絶対に駄目である。不正や不祥事が発生したら、「我々はこれを大きな問題として認識し、こういう風に解決し、今後とも発生しないようにこのように予防策を講じる」と宣言する。こうすれば信用不安のような状態にはならないと思う。