「オシムに学ぶ」
- 作者: 週刊サッカーマガジン編集部
- 出版社/メーカー: ベースボール・マガジン社
- 発売日: 2006/10/21
- メディア: 単行本
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(以下引用)
1学ぶ
オシムの言葉には、周囲のすべての人間が学ぶことの大切さを改めて思い知らされる。常に学んでいるという姿勢を崩すことがないからだ。
「毎日学んでいる」
「選手から学んでいる」
「負けていいとはいわないが、敗戦から学ぶことが多い」
教えてもらわなくても学ぶことが出来るし、学ぶことが無いように見える物事からもやはり学ぶことはある。要は本人の学ぶ姿勢であり、それを自分のものに出来るかどうかも自分次第。真似をするのではなく、自分のものとして消化吸収する努力が必要。
最初にやったことがうまくいかなかったら、変えることも必要だ。私も日本に来て学んでいるし、日本が違うメンタリティを持っていれば変える。日本人がヨーロッパ人よりも優れたものを持っていれば、私の考えの方を変える必要がある。その逆もしかりで、そうやって常に学んでいくことが大事だと思う。
「常に学ぶ姿勢があれば、変えることも出来る」
2監督とは
ナビスコの優勝で多くの花束が届いたが、それらは既に枯れた。ナビスコの優勝は既に終わったことなのだ。何かを成し遂げようとするなら、同じミスを繰り返してはいけない。
人間とはミスを犯すものだが、私の役割はそれを指摘することであり、ミスを認めるわけにはいかないのだ。
監督というものは、常に何がうまくいっていないかを探さないといけない。私はブラシのようなもの。常に埃を払うことをしないといけないのだ。
人生とは簡単なことではないが、私は毎回毎回練習メニューを変えようと思っている。ただそれは、変えていることを選手たちが日々気づくようなことではない。毎日毎日少しずつ変えていき、振り返ってみると大分変わったなあ、というようなことだが、それは選手に飽きさせないためでもある。一気に変えるのではない。物事は一歩一歩進んでいくべきものだから、選手に学ばせるためには繰り返しやることが大事だ。
辞めていれば去年出した実績を皆さんの記憶にとどめることが出来るわけだが、逆に去年作り上げたものをより確かにすることはもっと大変なこと。でもそれをやろうと思ったから契約を更新した。
人生でもそうだが、大切なのはバランス。何が出来て何が出来ないのか、しっかりとらえる必要がある。
相手チームのことを調べるよりは相手チームがうちに対して何をしなければならないのかを考えさせたほうがいい。相手チームをまずリスペクトすること、相手を軽く見ないことがまず重要だ。相手を理解して敬意を払っておくべきだ。例えばアマチュアとやるときでも尊重すべきだ。でもそれは相手を恐れるということではない。自分たちよりもいい相手とやることも準備しておかなければいけない。
自らのチームへの過大評価や過小評価を嫌う。
3サッカー
監督にうるさく言われたのがパスを出した後に必ず走れということ。止まっていたら怒られますからね。日本人はパスを出して満足してしまう選手が多い。自分もいままではそうだったけど、パスを出した後の動きが大切だということを言われていたので、体が自然に動くようになった。
ディフェンスに関しては特に細かいことは言われません。ただし、簡単なミスについてはすごく厳しく注意されます。失点シーンはビデオで分析して、どこが悪い、どうして点が入ったのかを説明されます。悪かったけどいいよ、いいよ、ということはなく、これは悪かったから絶対に次はやるなと名指しで言われますからね。でもそういうのがすごく厳しい目で見てくれているのだと感じさせられますし、やりがいがあります。
スタメンが決まっていないから、みんながやる気があるんです。まったく気が抜けない。そこが強くなったところですね。
ゲーム形式のトレーニングを繰り返すことで、選手たちがプレーすることに対する恐怖心をなくしていくやり方です。選手はミスする権利もあるが、同じミスを繰り返してはいけない。ゲーム形式のトレーニングを繰り返す中で、選手たちは動き出しをしなければいけない、ゲームに参加しなければいけない。そういうトレーニングをする中で、選手たちが信じられないくらい成長しました。
4ビジョン
監督は選手一人ひとりが何を望んでいるか、どういったビジョンを持っているかを理解しなければなりません。(中略)阿部や坂本はリーダーとして声を出すだけではなくて、選手としてのビジョンを持たなければならない。特に阿部のようにサッカー選手としての質を持っている人間は、自分が成功する、そしてチームを成功させるというビジョン、野心を持たなくてはならない。自分も動きながら、チームのために犠牲になるプレーをしなければならない。偶然に彼がキャプテンなのではありません。阿部には自ら身を持って周囲に示すべきことがあるのです。
「お前が一番長く、このチームにいるんだろう。それは聞いた。お前はこのチームのすべてを知っているんだろう?何でこのチームは勝てないんだ。お前はここで選手、指導者も経験している。なぜ、このチームが勝てないのか分からないお前がいること自体が、ジェフが勝てない理由なんだ。」初対面でこう言い放たれ、返す言葉を失った。「選手に変われ、変われ、という前に、お前自身が変わらなかったら、何も変わらない。戦う集団にしたいのか。優勝を狙うチームに本当にしたいのか。お前自身が思って行動しなかったら、何も変わらないし、選手に何も伝わらない。」そうズバッと言われました。