出井伸之


非連続の時代

非連続の時代


ソニー歴代の社長、井深大さん、盛田昭夫さんを激しく尊敬しています。戦後の混乱の中から高らかな理想を掲げて実践した点が素晴らしいと思ってる。まあそういった流れの中で、ソニーという会社には常々興味を持っており、前ソニー会長兼CEOであった出井伸之さんの著書はよく読んでいました。


ソニーという会社のトップはおそらく、そこら辺の小国のトップよりも責任と権限を持っているのではないか、とたまに思います。そういう人がどういう考え方を持って、またどういう生活を過ごしているかはとても興味がある。だって、僕なんかでは想像できないような日々を過ごしておられるに違いないから。特に、出井さんは良い意味で理屈っぽい、というか、社会とか企業とかの変動に対する理由づけに納得させられる部分があって、またそれと反対にある実際の現場との擦り合わせに苦労している部分が見てとれて、彼の著書はとても面白いんです。2005年の株主総会ソニー凋落の責任を取った形で退社なさったのは非常に残念ですが。


出井さんの時代にソニーの中核をなしていた「カンパニー制(事業部門を擬似子会社したものとして、権限委譲を進める構造)」や、新事業であった「AIBO」「QUORIA(高級価格商品ブランド)」が、今回の新CEOハワード・ストリンガーソニー初めての外国人社長)体制で廃止・縮小されることになった。他にも、出井さん時代の拡大路線が否定され、エレクトロニクスに注力するという方針が最近打ち出されていた。


僕は2000年くらいから、色んなソニーとか出井さん関係の情報を読むようになった。「絶対にこの人の在任中はソニーは失敗しないはずだ!!!」とかなりの自信を持って思ってた。けど。ソニーショックというソニー株価の大暴落があり、エレクトロニクス部門での赤字が続いて、(本人は続投を希望したにも関わらず、)結果的に社外取締役から退任案を出され退任。僕の予想は大きく外れました。


出井さんは。すごい大きい視点からソニーの目標を立てているように感じた。そのプロセスも理論的で完全なように思えた。けど、時代の影響も受けて、最後はそんな感じ。難しいなあと思いました。まあどんな結果にせよ、個人的な評価は変わりませんが。


ONとOFF (新潮文庫)

ONとOFF (新潮文庫)


エッセイです。読み返す必要はない。