金融無極化時代を乗り切れ!


(以下本文)


金融無極化時代を乗り切れ!

金融無極化時代を乗り切れ!

  • 「上がったものは必ず下がる」「下がったものは必ず上がる」
  • 1944年7月、アメリカのニューハンプシャー州にあるブレトン・ウッズという町に連合国側44か国の財務担当者が集まって、戦争終結後の世界経済の基本ルールを定めようとしたものでした。米ドルが世界の基軸通貨として認められたのはこのときですし、世銀やIMFの設立もこのとき決められました。また、この通貨体制にのっとって、戦後、日本の円は一ドル=360円の固定相場に定められたのです。しかし、それから27年後1971年8月15日、アメリカのニクソン大統領は突然、金交換性の廃止を発表しました。これによってドルは兌換券ではなくなりました。ニクソン・ショック以降のドルは、「担保なき紙幣」になったということです。当然のこととして、ドルの価値は、相対的に下がりました。ニクソン・ショックからは、抜群の軍事力に裏打ちされた安全保障体制を持つ「アメリカという国の実力」、つまり実物ではない一種の思い込みの世界的共有が、ドルの信用の担保となったわけです。
  • 人間ほど非合理的な判断をする生き物はない。
  • 今にも潰れそうな企業のCEOが、結局は会社を潰しておいて、自分は退職金をたくさんもらったなどという話は、明らかに倫理から外れたものと言えるでしょう。また、会社が儲かっているときは利益を独占していたCEOが、業績が悪化した途端に「税金で何とかしてくれ」と泣きつくのも同様です。
  • 今から2500年前、孔子は徳治政治について述べました。国を治める三つの要素は食糧、武器と信頼だといいました。このうち、最初に捨ててもいいものは武器、その次に食糧です。最後まで残しておかなければいけないのは信頼だといいました。「信なくして国立たず」ということです。
  • 経営者の役割は2つしかないのです。一つは、会社に対する信頼をいかに維持していくか。もう一つは経営の方針を間違えないことです。業績がいいか悪いかは、信頼できる部下に任せていればよろしい。むしろ経営者は、会社をこれからどのようにしていくかという方向性を打ち出していく存在でなければなりません。
  • アメリカでは、ドルをたくさん発行したため、今はジャブジャブと世界中にあふれかえっています。この先ドルが上がる可能性は、経済の需給関係から言えば、ほとんどないでしょう。長期的に見たら、現状ではドルが上がる可能性は小さい。輪転機を回して、いっぱいドル紙幣を印刷したからです。おまけに、財政赤字と経常赤字という双子の赤字を抱えていったい景気回復の金をどこから調達するのか。
  • ただ、実をいうと、一つの国の通貨を基軸にするというのは理論上、無理があります。ドルが基軸通貨であった場合、たとえばアメリカの国際収支が黒字になると、ほかの国は流動性不足に陥るという問題が生じるからです。アメリカが黒字になるということは、アメリカ以外は赤字といった状態になるのです。「近隣窮乏化政策」と呼ばれるものです。これではとても基軸通貨にならないでしょう。しかしながら、反対にアメリカが赤字になると、ほかの国は黒字になり、ある程度はうまく回る。しかし、それが行き過ぎると今度は過剰流動性になり、今回のようにドルの信認に火がつくことになってしまいます。したがって、基軸通貨というのは相矛盾する二つの面を持っているのです。こうした矛盾を抱えている以上、理論的には基軸通貨というものは存在し得ないということになります。とはいえ、基軸通貨が揺らげば各国とも通貨が安定せず、第二次世界大戦前のような通貨切り下げ競争による輸出拡大政策に走り、保護貿易国益対立という混乱を来すことになります。アメリカの国際収支が赤字であるからこそ、ドルは基軸通貨としての価値があったのです。今は、それが過剰流動性となり、不信感が生まれているわけです。
  • 人間は真水の17%しか使えていない。
  • 富の偏在も進んでいます。アメリカでは、上位5%の人々が全体の6割の富を保有しています。また、上位20%の人々が85%の富を保有しています。言い換えれば、アメリカ人口の80%で、アメリカ全体の富の15%しか持っていないということです。