紳助の子育て


哲学 (幻冬舎文庫)

哲学 (幻冬舎文庫)


紳助の子育ては、すごい。会話が多いし、正直な心でぶつかっている。


「お前らが将来どうなろうがいっさい関係ない。なんの期待もしていない。愛しているから期待しないとも、僕は言い続けた。」


「何もでけへんかった親ほどな、自分の子供に夢をたくすんや。おかしいと思わへんか?自分がでけへんかったものを、お前やれって。無茶苦茶おかしいやろう。やった親がゆうんやったらわかるけど、でけへんかった親がいうのはおかしい。俺は勉強でけへんかったから、お前ら勉強せえなんていわへん。」


「僕は子供の教育はなんにもしていないのだが、ただ、嫁の場合と同じで、とにかくいっぱい話すことにしている。よその家の、50倍から100倍は喋っていると思う。」


(P162〜P164)

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「長女が高校生だったとき、こういうことがあった。ミスチルが大好きだった彼女が、CDを買ってくれというのだ。いくらだと聞いたら、3000円だと言う。僕はこう答えた。」


「俺なあ、お前がよその姉ちゃんやったらなんぼでも買うてあげるんやけどな。CDなんか一日十枚でも、二十枚でも、服でもなんでも買うたるわ。その姉ちゃんがそれで僕のこといい人やお思ってくれさえすれば、あとはどうなってもかまへんから。でもお前は愛する娘やから、買うわけにはいかんのや。お前に俺がものを買うてやるやろ。お前は喜ぶわなあ。その喜んだ顔を見て、親はすごく嬉しいのや。でもそれは、自分の金でCD買うというお前の喜びを、親が奪ってるのや。だから親は買うたったら、あかんねや。その喜びはお前の喜びにしなあかんねから。自分で買いや、がんばれや」


「娘はわかったといって、その翌日から何か始めたらしい。学校から家に帰ってくると、毎日のように腹減った、腹減ったといっていた。」


「一ヵ月後、娘はそのCDをかかえて僕のところにやってきていった。」


「おっとう見てくれ、3000円のCD買うた。毎日昼食代を100円ずつ節約して買うたんや。めっちゃ嬉しいわ。おとうの言ったことわかったわ。なんか、自分で買うたってきがするねん。」


「僕だって娘に、「他の姉ちゃんにはなんぼでも買うたるんやけどな」なんて話をするのは、とても抵抗がある。でも、その話が今は必要だと思うから、がんばって話をしているのだ。」


(P164〜P165)


もちろん、同じことはできない。でもいくらお金持ちだって、子供に「我慢する」「分ける」「待たせる」ということを教育することは出来るのだと感じた。